地球環境情報学入門
高知大学気象情報頁とその裏側
講師自己紹介
- 菊地時夫
- 高知大学教育研究部自然科学系理学部門(理学部・大学院理学専攻)
- 1950年生・神奈川県出身
- 1973年 京都大学理学部(地球物理学)卒業
- 1979年 北海道大学大学院博士課程(単位習得)退学
- 1981年 北海道大学理学博士
自己紹介(続き)
- 1979年 高知大学理学部助手(物理学・地球物理学)
- 物理学実験,流体力学,気象学など担当
- 1985年 日本南極地域観測隊・越冬
- 1990年 高知大学理学部情報科学科設立に参加
- 1998年 -> 数理情報科学科情報科学コース
- 2007年 -> 応用理学科情報科学コース
- 画像処理論,情報ネットワーク論,情報社会と情報倫理など担当
地球環境情報学入門
- とりあえず、やってること
- 高知大学気象情報頁
- 「頁」は「ページ」と読みます
雲が見えるわけ
黒体放射の法則
- 熱伝達のひとつ ... 放射
- 伝導・対流
- シュテファン・ボルツマンの法則
- I = σT4
- 電磁波の強度 ... I
- 黒体の温度 ... T
- σ ... シュテファン・ボルツマンの定数 5.67 x 10-8 W m-2 K-4
プランクの法則
- シュテファン・ボルツマンの法則の元
- I(ν, T) = (2 hν3/c2) * (1 / ehν/kT - 1)
- ν ... 周波数
- h ... プランクの定数 6.62606896 × 10−34 J s
- k ... ボルツマンの係数 1.380 6504 × 10−23 J K-1
- グラフ
- 温度が高いほど、放射エネルギーが大きい
ウィーンの変移則
- グラフのピーク ... ある温度の電磁波の一番強いところ
- hc = 4.97λkT
- 6000 K (太陽) ... λ = 480 nm
- 290 K (= 17℃) ... λ = 10 μm
雲を見る
- 可視光線は 400 - 700 nm
- 10 μm ... いわゆる遠赤外線(熱赤外線)
- IR1 ... 10.3 〜 11.3 μm
- 大気による熱赤外線の吸収
- ちょうど、10μm 付近は「大気の窓」になっている。
雲らしく見せる
- 赤外線なので、本当は何も見えない
- 白黒写真では、明るい = 白い o
- 赤外線写真だと、色を付けて見せたりする。 o
- 大気の温度分布 ... 高いほど気温が低い 0.6℃/100m
- 赤道直下 30℃ -> 10,000m ... -30℃
- そこで、白黒反転 o
その他の画像
- 可視光線
- 水蒸気
- スプリットチャンネル
- 短波長赤外
可視光線
水蒸気
- 波長 6.5 〜 7.0 μm
- ほとんど、不透明(水蒸気) o
- 高度 5〜6000 m の大気の流れ
- 普通には見えない渦が見えることがある
スプリットチャンネル
- という名前の赤外線波長帯があるわけではない
- IR1 (10.3〜11.3μm) と IR2 (11.5〜12.5μm) の差を見る
- 雲の種別判別、黄砂
短波長赤外線
- IR4 (3.5〜4.0μm) o
- 夜は温度(ただし、大気吸収の影響大)
- 昼は太陽光の反射
- 雲の種類判別、霧
- 熱赤外(IR1)との差を見る
情報学の部分
- (気象衛星など)地球環境情報提供システムの構築
- インターネット
- データベース
- コミュニケーション(人間同士の通信)
- 暗号通信
- CD 配布 とか、DVD 作ってみたりとか
若い人たちへのアドバイス
- 受験が全てではありません
- 受験で測るのは、「限られた時間に答えが分かっている問題を解く」能力
- 実社会(研究)では、「(今まで)答えが無い問題を根気よく解」こうとする
- 方法は、調査/理論/実験/ etc. etc.
- 興味を持つこと/おもしろいことを見つけること
- 時には、「つぶし」も大事
おまけ
- 地球は本当に二酸化炭素で温暖化してるんですか?
- つるかめ算
- 頭 8, 足 26. 鶴と亀はそれぞれ何匹?
- 「このあたりには、鶴なんていないよ!」
- 温暖化を見積もるには、方程式を解かなければいけません
もひとつおまけ
- 高知大学理学部では、推薦入試Iに「情報」枠を新設します。
- 特に、論理的思考を情報の分野で発揮できる人、にピッタリかも。